MVP:福井大次郎選手(慶應義塾大学、F・マリノスユース出身)インタビュー
――前半、失点直前には立て続けにシュートを止める場面がありました。あの場面を振り返って、いかがでしょうか。
福井選手「1本目はミドルシュートで、途中でディフレクションして予想とは少し違う方向にボールが来ました。ただ、大きくコースが変わったわけではなく、自分の届く範囲に来てくれたので、そこは対応できて良かったと思います。ですが、あの状況では弾く方向までコントロールするのは、なかなか難しかったです。
その後の2本目、3本目については、少なくとも次のシュートに対して良い状態で構えることはできていたと思います。GKとしては、1本止めたあとにそこで終わるのではなく、次のプレーにどうつなげるかが大事です。連続してシュートが来る中でも、なるべく良い状態をつくりながら対応することを意識していました」
――早慶戦は、普段の公式戦や練習試合とは違う特別な一戦です。実際にピッチに立って感じたことは、どのようなものでしたか?
福井選手「大学に所属している4年間の中で、この試合に出られる機会は本当に限られています。4年生にとっては今回が最後の早慶戦ですし、自分にとっても、この先あと何回出場できるのか分かりません。
実際、試合前日のメンバー選考で外れてしまった4年生もいました。悔しくて涙を流している選手もいましたし、それでも今日になれば気持ちを切り替えて、チームのために前向きにサポートしてくれていました。それは慶應だけではなく、早稲田も同じだと思います。
この試合には、ピッチに立っている選手だけではなく、出場できなかった選手やスタッフ、いろいろな人の思いがある。そういう全員の思いを背負って、このピッチで戦うことができたのは本当に光栄でした。
その中で勝利という結果を残すことができましたし、自分自身もプレーを通じて、支えてくれた人たちへの感謝を少しでも伝えることができたのであれば、それはすごく良かったと思っています」
――GKとして両足を使えることや、広い守備範囲も福井選手の特徴ですが、そうしたプレースタイルはどのように身につけてきたのでしょうか。
福井選手「自分の特徴の一つは、左右両足でボールを蹴れることだと思っています。現在F・マリノスからコンサドーレ札幌に期限付き移籍中の田川知樹選手を見たことが大きかったです。
高校1年生の時にF・マリノスへ練習参加した際に田川選手を見て、本当に驚くくらい左右差なくボールを蹴っていました。それを見て衝撃を受けましたし、『これくらいできるようになれば、相手のプレッシャーにもハマらないだろう』と思い、そこからひたすら練習してきました。
他にも、現在バンクーバー・ホワイトキャップスにいる高丘陽平選手をはじめ、Jリーグ屈指のGKたちと一緒に練習させてもらう機会がありました。そうした経験を通じて多くのものを吸収できたことが、今に生きているのかなと思います」
――今日はかなり前のポジションを取って、DFラインの背後まで広くカバーしていましたね。
福井選手「早稲田のGKである雨野選手は、すごく良いロングボールがありますし、足元につけるボールもあります。それぞれどういう特徴を持っているのかは、事前のリサーチでも分かっていました。
相手が良いボールを蹴ってくることが分かっている中で、自分がDFラインの背後に出ていかなければ、ディフェンスの選手たちも守りにくくなってしまいます。今のチームではGKにも背後の広い守備範囲が求められていますし、自分としても、そういうプレーをすることでチームのスタイルにフィットしていきたいと思っています。
ただ、まだまだ改善しなければいけない部分もあります。今日も後半に1本、自分の判断が少し遅れてしまった場面がありました。後手に回ったことで、判断を誤ってしまった部分があったので、そこはしっかり振り返って、今後修正していきたいです。
良かったプレーだけではなく、そういうミスも含めて一つひとつ改善していくことが、自分自身の成長につながると思っています」
――スタンドには、横浜F・マリノスのサポーターも多く訪れていました。
福井選手「まず、早稲田の兵藤監督だったり、我々の中町監督だったり、F・マリノスには本当に偉大なOBの方々がいます。それに、自分と同じようにF・マリノスに関わってきた選手もいますし、大学を経てプロに進んだ選手もいます。
今日来てくださった皆さんが、自分を見るために来てくださったのかどうかは分かりません。それでも、こうして会場まで足を運んで試合を見てくださること自体、決して当たり前のことではないと思っています。
だから、まずは本当に感謝したいです。特に、F・マリノスユースの頃から自分のことを見てくださっている方々に対しては、大学に進んでから少し成長した姿を見せることができたのかなと思います。
そういう方々の前で、この早慶戦という大きな舞台に立って、勝利することができた。それは自分にとってもうれしいことですし、少しでも成長した姿を届けられたのであれば良かったと思います」

